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豊胸術というのは、美容外科の中ではかなり症例の多い手術で、生理食塩水のバックが出来てからというもの急速に普及したのではないでしょうか?最近の美容外科の広告を見ていますと、実に簡単で、痛みも無く、また安全な手術であるかのごとく錯角させられてしまいそうです。現実に、医学的な表現を用いれば、“大胸筋下にスペースを作り、バックを経腋窩的に挿入する”だけの手術なんでしょうが、手術には色々な落とし穴というか合併症が起こる危険性が含まれているという事をお話しましょう。
まず麻酔ですが、一部の施設では硬膜外麻酔というものを使用し、麻酔深度を浅く(身体には優しい)していますが、硬膜外麻酔の針を刺す際に、深すぎると脊髄を傷つけて、生命が危険にさらされる事だってあります。これを避けるために、静脈麻酔と鎮痛剤を併用した方法や全身麻酔をかけたりと、施設によって多様です。ただいずれの麻酔も、局所麻酔の様には簡単ではないので、十分な休息と術後の観察が必要とされます。次に痛みですが、かなり痛い様です。こんな事を書いてしまうと、どこかのクリニックから怒られてしまいそうですが、術後1日は“肋骨が折れたかと思うくらい”痛い様です。この表現は私が接した患者さんからのもので、私が手術した方以外に他院で手術をされた方とお話しても、ほとんど同じ表現が返ってきます。ただ、痛いのは1日か2日の様で、3日以上痛かったと言われる方も少ないと思います。麻酔や痛みの話題はこれくらいにして、出来上がりや、安全性はどうなのでしょうか?安全性の面から言えば、生理食塩水のバックにかなうものがないのですが、触った感じはシリコンが中身のバックにかなうものがないような気がします。
ただ、シリコンはバックが破れた時に危険なので、日本ではあまり人気が無い(というよりも、医者が勧めない)のですが、現実的には破れた時の症状や後の治療等について十分説明しておけば、問題が少ないような気もしています。また、バックが、破れるか否かとよく質問されますが、正直に言うと“たまにあります。”ただ、バックを作るのが外国のメーカーで(フランス製を使っているクリニックが多いようです。ちなみにアメリカでもフランス製が主に使われています。)、我々医者が作る訳ではないので、一応規格に合格したものを使っているので、“大丈夫な事が多い”というのが的確な表現でしょう。なんとも無責任かもしれませんが、現実はこんなものです。また、手術の失敗についてですが、一番多いのが“バックの位置が悪い”場合でしょう。上すぎてしまう場合や下すぎてしまう場合があるのですが、多くは手術が寝た姿勢で行われるので、起きてみると印象が違うというところに起因していると思います。最後に術後のケアですが、バックが良くなったせいで、以前のように、しょっちゅうマッサージをする必要性は少なくなりましたが、人によっては、硬くなってしまい取り出す手術を余儀無くされてしまう事があるということも、付け加えておきます。
いずれにしても、手術というものは、多かれ少なかれ、失敗や合併症を伴うという事だけは、患者さんに分かっておいて欲しいものです。こんなにくどくどと悪い(?)事をいっぱい書くと、手術自体が悪いと私が言っているように感じるかもしれませんが、先に男性の所で書いたように、身体的なコンプレックスを解消するという大きな意義がある大事な手術で、多くの患者さんに喜ばれる手術であるとう事も、身をもって認識しています。
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