YAMAMOTO CLINIC 山本クリニック
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ケミカルピールで皮が剥ける?
  (2003/02/27)

最近、よく外来で“ケミカルピールって皮が剥けて、外に出れなくなるって聞いたのですが本当ですか?”と質問されるので、ここでケミカルピールの安全性について、簡単に書こうかと思います。

始めに簡単な歴史的背景を書こうかと思います。ケミカルピールというものが、学術的に認知されているのは1882年、ドイツの皮膚科医であるP. G. Unnaという先生が初めで(もし間違ってたらすいません)、サルチル酸などのピール作用について記述し、その後アメリカで色んな先生が始めたらしく、1940年代になると文献がいくつか書かれています。
1960年代に入って、形成外科医のBakerとGordonがフェノールという酸を使って皮膚の若返り療法だと流行らせ(これは学術的な表現ではないですね)、70年代から80年代にTCA(トリクロル酢酸)を用いたピールが行われるようになり、今流行のグルコール酸のピールが登場したのは、90年代になってからなのです。私が何故このような歴史から書いたかというと、歴史的には結構古いのですが、TCAなどは、現在も生き残っていますし、サルチル酸に至っては、最近ニューバージョンが登場する勢いなので、案外変わっていない部分もあるということを始めに認識していただきたいからなのです。

さて、このように色々と変化してきたピーリングですが、TCAとかは皮膚の深いところまで作用が及ぶので、経験の無い医者がやると、とんでもないことになったりしていましたが、グルコール酸は皮膚の浅い所に作用するので、比較的安全に出来ることから、現在では主流になっています。ここで細かい皮膚の構造や、ピーリングのメカニズムを書くと眠くなるでしょうから、細かいことは置いておいて(興味があったら、インターネットで検索すると、簡単に難しい話に出会えます)、グルコール酸というのはフルーツ酸の一種で、りんご酸、乳酸、酒石酸などの親戚だと認識していただければ十分です。ですから、クレオパトラがミルク風呂に入っていたり(乳酸)、ワインでフランスの貴婦人が顔を洗ったり(酒石酸)、長野にりんご風呂があったり(りんご酸)と、案外古くから親しまれていた美肌用のものを化学合成した物と言えば、ピンと来るのではないでしょうか?

じゃあ、とっても安全かと聞かれるとそうでもなくて、人工的に作っているので、濃度や強さが薬によって、まちまちで、また酸なので中和させないと化学火傷になってしまう事もあります。一時期、マスコミによく登場したトラブルは、大半がこうした薬の使い間違えで起こったのではないかと私は思っています。こうしたトラブルが起こると、文頭に書いた様な質問になって帰ってくるのでしょうが、グルコール酸で、しかも低濃度であれば、現実的なトラブルは非常に少ないと思っています。私は、ピーリングを始める前に過去最悪の患者さん(跡にはならないような小さな化学火傷を起こしたことがあります)の写真より、もし悪い状況になったら、写真を撮らせて欲しいと患者さんによく御願いするのですが、今の所更新していないので、おそらく普通の程度にやっていれば、こんなものかなと思っています。どこの話でも書いてますが、最悪の状態を写真でみたり、担当医から聞いていれば、トラブルは非常に少ないと思いますし、後悔しなくて済むのではないでしょうか?私個人としては、患者さんに喜ばれる事が多いので、なかなか良い治療の一つだと思っています。


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