最近、広告の文句で“あなたの思い通りの形に”とか“二重の形は自由自在です”という素晴らしい言葉が目に付きますが、果たして本当なのでしょうか?私は、よく外来で、“顔は粘土じゃないんだから”と言って患者さんの希望に添えない事を口にするので、スタンスはまったくといっても良いほど正反対です。では、これに関して若干の説明を加えようかと思います。いつもの如く、全部について書くのは非常に無理があるので、いくつかの例を挙げて、それによって理解していただけたらと思います。
まず目ですが(目の手術がなんと言っても一番多いので)、目には軟骨のフレームが入っていて、このフレームを無視してデザインということは有り得ません。ということは何を意味するのかというと、目の上下幅と左右幅に制約があるということなのです。目頭切開と目尻切開を併用すれば、若干の変化は期待出来るものの、目頭を切りすぎると、赤い部分が多く出て、日本人には不釣合いな変な(これは主観的な表現ですが)顔になりますし、目尻を切りすぎてもあまり大きくはならず、むしろ目尻の癒着を起こして目の形が変な風になってしまう事さえあります。二重の幅に関しても同様に制約がありますが、これはその人その人によって異なりますので、担当医とよく打ち合わせをする事が大事です。鼻に関しては、術式によっても異なりますが、シリコンを挿入する事が多いので、何よりも大事なのは、その人の鼻の大きさによって、入れられる大きさにも制限が自ずと決まってしまうということなのです。
例えて言うならば、小さな箱に大きなものを強引に入れようとしているようなもので、無理に入れると箱が変形したり、壊れたりするように、鼻が曲がってしまったり、シリコンが飛び出てくるといった失敗に遭います。私の外来で、特に最近多いのは、フェースリフトの相談で、顔を自分で引っ張り上げて、“これくらいになりますか?”と質問される方が結構いらっしゃいます。簡単に言うと、皮膚はゴムの様なものなので、強引に引っ張ると、戻ろうとします。ですから、時として、耳たぶ(耳垂というのが医学用語です)が皮膚が戻る時に引っ張られて変形してしまうというような状況になってしまいます。
このような訳で、引っ張る事が出来る限界というものがあるのです。ただこうした変化は、術後すぐにではなく、何ヶ月という時間をかけて変化していくので、術直後には“他で手術を受けたお友達より効果が少ない気がする”と患者さんに言われてしまうこともあるのですが、しばらくすると“この前のお友達の耳が変形してしまっているのですが、先生治せますか?”と聞かれることもあるので、私は自分のスタンスを崩さないようにしています。どの手術もそうですが、患者さんと綿密な打ち合わせなくして、成功はありません。“思っていたのと違う”と患者さんが言われることがありますが、“思っていた”のがどんな感じなのか、患者さんも雑誌の切り抜きなどを利用して、担当医に伝える工夫も大事なのではないでしょうか?
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