まず術式ですが、簡単に言うと、“皮膚の下のいずれかの層にスペースを作り、バックを挿入する”ということになります。挿入経路ですが、1.腋の下 2.乳房下縁 3.乳頭縁 があります。最近は、1.と2.がほとんどで、外国で手術を受けた以外は3.を見ることは、ほとんどなくなりました。また入れる層ですが、1.大胸筋下 2.乳腺下 3.皮下 がありますが、これも1.と2.がほとんどです。最近の動向としては、2.が主流で、他の場所に入れるのは珍しくなっているのではないでしょうか?入れるバックにもバリエーションがあり、相変わらず新製品が続出していますが、“異物”ということは免れない事実で、硬くなったりするというトラブルは、決してゼロにはなりません。さて、簡単に術式をご紹介したところで、今回の方は、腋の下から乳腺下にバックを入れた方(ご本人は担当医からそう説明されたそうです)なので、初診時(写真1)に腋の下が突っ張ると言われてお会いしたときには、皮下の剥離が癒着を起こして、硬くなったのだとばかり思っていました。手術を担当された先生も形成外科の専門医ということもあり、私としては非常に気楽に修正を請け負ってしまいました。この方のご要望は、1.突っ張り感を無くすこと 2.傷を奇麗にすること でしたので、1.皮下の剥離をしなおして、突っ張り感をなくす 2.傷を奇麗に切りなおす という術前計画を立てました.。
局所麻酔をして、手術をしたときの様子をお見せしますが(写真2)、筋(すじ)が大きく固まって血管や神経のように見えました。この深さに神経や血管は存在しないのですが、いざ切り取るとなるとなかなか緊張してしまいました。これらを切除してから、推測出来たことなのですが、前回の術中に、なんらかのトラブルか出血があり、糸を結んで処理をしたのが塊となったように思われました。これらを奇麗に切除して、開けた皮膚が浮いてしまわないように皮膚を皮下とを結んでいるので、何箇所か留めた糸が見えますが、傷を縫い直したのも分かると思います(写真3)。術後約1ヶ月にお会いした時の写真をお見せしますが、突っ張り感が解消されたのと、傷口が少し奇麗になったのが分かると思います(写真4)。傷口はこの後時間をかけて奇麗になっていくと思われます。
どのような手術も合併症や失敗が皆無というものは存在しないと私は思いますので、最悪の場合の状態やそのときの担当医の対応もあらかじめ確認してから手術を受ける事をお勧めいたします。 |