話がそれてしまいましたが、瞼は眼瞼挙筋が瞼のフレームである瞼板を持ち上げたり下げたりすることによって開いたり閉じたりしています。例えて言うなら、垂れ幕が紐でつるしてあり、紐を持ち上げると垂れ幕が一緒に動きますが、この紐にあたるのが、“挙筋”で、垂れ幕にあたるのが“瞼板”です。眼瞼下垂の方は、この挙筋と瞼板が離れてしまって(実際には他の状態もありますが、簡略化しています)、挙筋が上に移動するのに、瞼板が一緒に移動せず、開きが悪くなっています。もちろん、これらが完全に離れていては、“目が開かない”という状態になってしまいますが、実際にはこの二つの間に介在する組織によって瞼が動きますので、“開き難い”という状態になっています。したがって、治療法は“この離れてしまったものをくっつける”という事をします。
実例の方が分かりやすいので、写真を示しますが、挙筋と瞼板が離れていて、その間に薄い組織があるのが分かります(写真1)。この離れてしまったもの同士を結びつけるのが目的ですが、写真の中で青いピンセットで示しているのが挙筋の縁です(写真2)。挙筋と瞼板の縁に紫色で印をつけましたが、これらの部分を、それぞれ縫い合わせます(写真3)。縫合が終了した状態を写真で示します(写真4)が、これで挙筋と瞼板が一体化して“筋肉が持ち上がることによって目が開く”という本来の機能を回復した事になります。
二重はこの挙筋ないし瞼板と瞼表面の皮膚をつなぐことにより、“目を開いたときに皮膚が引き込まれて”出来るので、二重を作るためには、挙筋(瞼板)と皮膚をつなぐという、さらなる操作を加える必要があります。したがって、“眼瞼下垂の手術をしただけでは、二重にならない”という事になります。ただ、通常は眼瞼下垂の手術をした際に二重を作るので、この二つの手術が一般の方には混同されているのだと思います。
当然の事ながら、担当医はこの二つがきちんと分かっているはずなのですが、術前の説明では、あえて“あなたは眼瞼下垂なので、眼瞼下垂の手術をしなければいけません”と説明され、高い手術(一般的には、二重の手術よりも高額)にされてしまう方もいるようです。
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