美容外科話

COLUMN

刺青切除・刺青除去レーザー
第105話

指のタトゥー・刺青の切除(皮膚移植)の傷跡の経過|東京新宿山本クリニック

刺青切除については、いくつか書いてきましたが、植皮については書いていませんでしたので、この話で、イメージをつかんでいただければ幸いです。

特に、指の刺青は他の部位と違い皮膚が伸び難いので、分割切除というわけにもいかないこともあります。

まず、植皮について簡単にご説明しますが、植皮とは読んで字の如く皮膚をどこかからもってきて、植えるということです。

持ってくる皮膚の厚さで全層植皮と分層植皮に分かれますが、大まかに言って分層植皮は、広範囲に植えることが出来ますが、全層植皮に比べると質感が悪くなります。

外来で、植皮の話をすると“お尻から持ってくるのですか?”とよく質問されますが、お尻の皮膚を使うことが多いのは、皮膚を取った部分の傷が目立たない場所が選択されるという意味合いです。今回の方には、指に質感の近い手の甲の皮膚を使いました。

ご紹介する方は、モニターの方ではありませんので、この話の掲載に快諾を頂いたことについて、この場をお借りして深く感謝します。

BEFORE
術前
AFTER
術後

それでは、具体的に説明を加えさせていただきたいと思います。まず、術前の状態をお見せします(写真1)

指の半周近くに図柄があるため分割切除は無理と判断し、ご本人と相談の上、一度の手術で終わるように植皮することにしました。

前述したように、手の甲の皮膚は、質感が指と似ているので、私は比較的よく使います。

しかし、大きい皮膚が採れないので、大きな図柄には適しません。どこの皮膚を使うのかは、先生によって違いますし、刺青の入っている場所によっても違うので、術前に患者さんと良く話し合う必要があります。

次に術直後の状態をお見せします(写真2)。

手の甲に残っている傷の部分が、皮膚を採った場所です。

このように採った場所にも傷が出来てしまいます。また、刺青があった指には、パッチのように皮膚が当ててあります。

この後、植えた皮膚が良く生着するように、圧迫固定をします。

植皮の手術で一番恐ろしいのが、植えた皮膚が腐ってしまうという現象です。そうなると、次に出来る治療の選択肢があまりなくなってしまいますので、術後の安静と圧迫が全てを決める程大事なのです。

通常は、ガーゼを厚めにしっかりと巻いて、ギブス固定をして患部が動かないようにします。

ところが、これを守れずに、動いてしまったり、濡らしたり、お酒を飲んでしまったりして、悲惨な状況になってしまう方にお会いすることもあります。

手術を成功させるために患者さんの協力が欠かせない手術だとも言えます。


写真3
写真3

最後に抜糸時直後の状態をお見せしますが(写真3)、植えられた皮膚の色も良く生着したのが分かります。ここまでくれば心配はありませんが、ご本人に聞くと生活が辛かったとおしゃっていました。

今回は、植皮の方をご紹介しましたが、手術を成功させるには、術後が非常に大事ですので、この手術を受けられる前に、術後の注意事項を熟知するようにしていただきたいと思います。

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『美容外科話』著者

  • 山本 豊【山本クリニック院長】

    1992年 東京医科大学卒業。2004年8月 山本クリニック設立。
    美容外科の手術を中心に行っているクリニック。 他院手術トラブル修正手術、海外で受けた修正手術にも対応している。日本アンチエイジング外科・美容再生研究会 元指導医。医療法人社団 豊季会 理事長。資格:医学博士(甲種)、日本外科学会認定医、日本アンチエイジング外科学会 名誉理事、JAASアカデミー最高指導医。